今回のテーマは「確定申告の基本ガイド!手続きやポイントをわかりやすく解説!」です。
- 確定申告、聞いたことはあるけど、どんな手続きをすればいいの?
- 私は、確定申告しなくちゃいけないの?
- 今更、確定申告について周りに聞くのは恥ずかしいから誰か教えて!
分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
確定申告とは?
確定申告とは、1年間の収入から経費等を差し引いて所得を算出し、そこから納める税金の額を計算して国(税務署)に報告する手続きのことです。
個人事業主(自営業、フリーランス)の人は、所得税の確定申告が必要です。
会社員やパート、アルバイトなどの給与所得者は、会社が年末調整で所得税の金額を確定してくれるため、基本的には確定申告は必要ありません。
しかし、給与所得者や年金受給者でも副業で20万円以上の所得があるなど一定の条件を満たしている場合、個人で確定申告をしなければいけないため覚えておきましょう!
※後述します。
所得と収入の違いは?
所得と収入の違いは以下の通り。
- 「所得」:収入から事業にかかる仕入や経費の額を差し引いた金額
(※給与所得者の場合は、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額) - 「収入」:売上や給与など、1年間に得たすべての金額
(※給与所得者の場合、会社より支給される給与・賞与の合計額が収入に該当)
また、所得から各種所得控除などを差し引いた金額を「課税所得」といいます。
所得税は、この課税所得をもとに算出されます。
所得の種類 | 内容 |
---|---|
給与所得 | 勤務先から受ける給料、賞与などの所得。 ※会社員やパート、アルバイトはここに該当 |
事業所得 | 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得。 ※個人事業主(自営業、フリーランス)などの売上はここに該当 |
利子所得 | 預貯金や公社債の利子ならびに合同運用信託、公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託の収益の分配にかかる所得。 |
配当所得 | 株主や出資者が法人から受ける配当や、投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託以外のもの)および特定受益証券発行信託の収益の分配などにかかる所得。 |
不動産所得 | 土地や建物などの不動産、借地権など不動産の上に存する権利、船舶や航空機の貸付け(地上権または永小作権の設定その他、他人に不動産などを使用させることを含む)による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く)。 |
退職所得 | 退職により勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法にもとづく一時金などの所得。 |
山林所得 | 山林を伐採して譲渡、立木のままで譲渡することによって生ずる所得。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合には、山林所得ではなく、事業所得または雑所得。 |
譲渡所得 | 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、もしくは建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの。ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち、一定の要件にあてはまるものを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とはならない。 |
一時所得 | 上記、給与所得から譲渡所得までのいずれにも該当しない所得。懸賞金や福引の賞金品、競馬・競輪の払戻金、生命保険の一時金、損害保険の満期返戻金など、労働の対価や譲渡による対価としての性質を持たない一時的な所得。 |
雑所得 | 上記のいずれにも該当しない所得。公的年金や非営業用貸金の利子、副業にかかる所得。 |
引用:国税庁:No.1300 所得の区分のあらまし
所得控除って何?
また、所得控除は2023年12月時点で15種類あり、以下の通りです。
所得控除の種類 | 内容 | 控除額 |
---|---|---|
基礎控除
※年末調整で対応可能 |
全ての人に適用される |
|
扶養控除
※年末調整で対応可能 |
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けらる。
2023年1月から、扶養控除の対象となる扶養親族のうち、年齢30歳以上70歳未満の非居住者の場合、次の項目にあてはまらない場合は、控除を受けることができない。
|
|
配偶者特別控除
※年末調整で対応可能 |
※青色事業専従者給与・事業専従者控除との併用は不可
|
配偶者の所得金額によって 最大48万円
※令和2019年分以前は38万円 |
配偶者控除
※年末調整で対応可能 |
配偶者の合計所得が48万円以下または、給与のみの場合は給与収入が103万円以下 |
|
勤労学生控除
※年末調整で対応可能 |
学校に行きながら働いており、合計所得金額が75万円以下 | 27万円 |
ひとり親控除
※年末調整で対応可能 |
納税者がひとり親である場合 | 35万円 |
寡婦控除
※年末調整で対応可能 |
その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦に適用される。
※寡婦:夫と死別し、もしくは夫と離婚した後婚姻をしていない人、または夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人または生計を一にする子がいる人。 ※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更されています。 |
27万円 |
障害者控除
※年末調整で対応可能 |
納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合に適用。
※16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用 |
※1人につき |
寄附金控除
※個人で確定申告が必要 |
ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合に適用 | 「寄附金支出合計額」と 「所得 ×40%」 のいずれか少ない方-2,000円 |
地震保険料控除
※年末調整で対応可能 |
地震保険料を支払った場合に適用される | 最大5万円 |
生命保険料控除
※年末調整で対応可能 |
生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用 | 最大12万円 |
小規模企業共済等掛金控除
※年末調整で対応可能 |
小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用 | 支払った掛金の合計額 |
社会保険料控除
※年末調整で対応可能 |
健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる |
支払った保険料の合計 |
医療費控除
※個人で確定申告が必要 |
一定額以上の医療費を支払った場合に適用さ
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる |
(支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円
※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額×5% |
雑損控除
※個人で確定申告が必要 |
災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用 |
※いずれか多い方 |
引用:国税庁:No.1100 所得控除のあらまし
年末調整で対応可能な控除は12種類あります。
逆に「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」は個人で確定申告しなければ、控除が受けられません。
会社員やアルバイト、パートの方で上記3つに該当する方は注意が必要です。
なぜ、確定申告を行わなければいけないのか
納税は国民の義務であり、会社員など年末調整を受けている場合や一定の収入以下で確定申告の義務がない場合を除き、収入を得ている人は、所得に応じた所得税を納める必要があります。
確定申告は原則、毎年2月16日〜3月15日までに申告手続きをしなければなりません。
期限内に手続きを行わないと無申告加算税や延滞税、控除額が減るなどのペナルティが科せられます。
また、源泉徴収や予定納税によって必要以上に税金を納付していた場合は、確定申告を行うことによって納めすぎた税金が還付されます。
予定納税や源泉徴収などで支払った所得税額が実際に支払うべき所得税額よりも大きい場合、確定申告を行わなくても罰則などはありませんが、確定申告をしなければ還付も受けられないため覚えておきましょう。
確定申告の期限
所得税の確定申告期間は、原則として対象となる年の翌年2月16日~3月15日です。
2023年度分の確定申告は、2024年2月16日~3月15日が期限ということですね。
ただし、確定申告期間の開始日や終了日が土日祝日になる場合は、それぞれ翌平日に変更となります。
所得税を算出してみよう
所得の種類や所得控除について理解出来たら、次は実際に所得税を算出してみましょう!
それぞれ解説します。
1.1月1日から12月31日の収入の合計金額から仕入や経費の額を引き「所得」を出す。
例えば、収入が1000万円あったとします。
仕入れや経費が600万円あった場合「1000万円−600万円」となるので、所得は400万円になります。
2.所得から所得控除額を引き「課税所得額」を出す。
受けられる所得税控除が配偶者特別控除 48万円だった場合。
※所得控除の額は、控除内容によって異なります。
4,000,000円−480,500円=3,520,000円
3.課税所得額に所得税率を掛け、「所得税額」出す。
所得税の税額は、所得税率をかけて求めます。
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
引用:国税庁「No.2260 所得税の税率」
先ほどの計算で「課税所得額」が3,520,000円だったため、税率は20%、控除額が427,500円です。
4.所得税額から税額控除額を引いて納める「所得税額」を出す。
所得税額の計算式は、以下の通り。
「課税所得金額 × 所得税率 – 税額控除額 = 所得税」
3,520,000円×20%−427,500円=276,500円
所得税は「276,500円」です。
税額控除
税額控除とは、算出した所得税額から直接差し引くことができる控除のこと。
- 所得から差し引いて課税所得を少なくできるのが所得控除
- 課税所得をもとに算出した所得税額から差し引いて納付する税額を少なくできるのが税額控除
税額控除は主に22種類あり、住宅ローン控除や配当控除、外国税額控除などが挙げられます。
税額控除について知りたい方は、国税庁に記載されていますので、確認してください。
国税庁「税額控除」
確定申告と年末調整の違いは?
会社勤めの方やアルバイト・パートの方は12月になると年末調整の申告書を提出をお願いされると思います。
では、確定申告と年末調整は何が違うのか。
- 確定申告:納税者自身が手続きを行う
- 年末調整:勤務先(会社)が手続きを行う
確定申告:納税者自身が手続きを行う
納税者自身が所得税を確定させ、税務署に申告を行うのが確定申告です。
個人事業主やフリーランス、自営業の方はどこかの会社に勤めているわけではありません。
そのため、確定申告を通じて1年間の所得を算出し、そこから納める税金の額を計算して国(税務署)に報告する手続きをしなければいけないのです。
年末調整:勤務先(会社)が手続きを行う
勤務先(会社)が手続きを行うのが年末調整です。
毎月、給与明細書を確認してみると「所得税」が毎月の給与から源泉徴収(天引き)されているかと思います。
ただし、天引きされている所得税は概算であり、正しい税額ではありません。
1年間の給与が確定した時点で会社は個々の所得税を計算し、正しい税額で納税しなければいけません。
年末調整で、正しい税額と概算の税額の差を算出し、納めすぎていれば還付、不足していれば追加徴収します。
多くの給与所得者は、年末調整によって、その年の所得税の納税は完了です。
確定申告が必要な人
では、具体的にどのようなケースの場合に確定申告が必要なのでしょうか。
確定申告が必要な人は以下のような場合です。
✅会社員であっても給与所得が2,000万円以上ある
✅給与所得を1ヶ所から受け取っており尚且つ、給与所得以外の所得が年間20万円以上ある
✅掛け持ちなどで2ヶ所以上から給与所得を受け取っており、その全てが源泉徴収の対象で尚且つ、年末調整の対象外の所得が年間20万円以上ある
✅年の途中で退職し、その後再就職していない場合
✅日本国内に住所がない人や、国内に居住しているが、その期間が1年未満
✅日雇いや単発のアルバイトなどで所得税の源泉徴収がされておらず、年間の給与収入が103万円以上ある
✅災害減免法により所得税などの源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人
✅株式投資をしている人
など
出典:国税庁「確定申告が必要な方」
アルバイトやパートも基本的には勤め先が年末調整を行うため確定申告は不要ですが、以下に該当する場合、個人での確定申告が必要です。
- 事情あって年末調整がされなかった
- その年の給与所得が103万円を超えていたが、年の途中でアルバイトを辞めた
その年の給与所得が103万円を超えていないが、源泉徴収されている アルバイトやパートを掛け持ちしている場合、すべての勤務先から源泉徴収票を取り寄せ、年末調整を行う勤務先に提出することでまとめて年末調整ができます。
これを行った場合、確定申告はしなくてOKです。
確定申告を行うことで還付を受けられるかもしれない人
確定申告をする必要がない人でも、以下に該当する場合は、確定申告をすることで還付が受け取れる可能性があります。
- 事業で赤字だった
- 災害や泥棒、事故で資産に損害があった(雑損控除)
- 医療費が10万円を超えた
- 医療費控除など、受けられる各種控除がある
- 住宅ローン控除を申請した
- ふるさと納税をした
- 年の途中で退職し、年内に再就職していない
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
- アルバイト先などで源泉徴収されている場合(年収103万円以下)
年末調整をした方でも上記に該当する場合は、個人で確定申告を行いましょう。
確定申告の種類
確定申告は青色申告と白色申告の2種類です。
それぞれに要件や受けられる控除や手続きの方法が異なります。
青色申告
青色申告は事業所得や不動産所得などがあり、税務署に「開業届」及び「青色申告承認申請書」を提出した事業主が利用できる申告方法です。
青色申告は、複式簿記による帳簿や青色申告決算書の作成、関連書類の最長7年保存など、しなくてはならない帳簿類が多く正直、面倒な部分が多いですが、その分、節税メリットが大きいです。
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 最大3年の事業損失(赤字)の繰り越し
- 減価償却の特例(※)が使える
- 貸倒引当金の計上ができる
- 青色事業専従者給与を経費計上できる
※最大65万円の控除を受けるには電子帳簿保存による帳簿保存、またはe-Taxを利用した確定申告書及び青色申告決裁書の提出が必要。
白色申告
青色申告ではない人、あるいは青色申告にするための手続きをしない場合は、白色申告となります。
青色申告とは異なり、開業届や青色申告承認申請書の提出や、複式簿記での帳簿作成や複雑な手続きも不要です。
初心者でも比較的簡単に確定申告ができるのがメリットですが、青色申告と比べると控除額が少なく、優遇措置はありません。
確定申告に必要な書類
まず、申告するには以下の書類を準備しなければいけません。
- 所得税の確定申告書
- マイナンバー
- 各種控除証明書
- 収入が分かる書類
- 口座番号
所得税の確定申告書
所得税の確定申告書は、以下の方法で取得できます。
- 国税庁のWebサイトからダウンロードする
- 税務署の窓口で直接もらう
- 税務署に依頼して郵送してもらう
- 市区町村の担当窓口や指導相談会場でもらう
またe-Taxから申告も可能!
e-Taxならスマホから確定申告ができますよ!
マイナンバー
確定申告書にはマイナンバーが必要です。
マイナンバー申請がまだの方でもマイナンバーの通知カードでもOKです。
ただし、マイナンバーの通知カードを使用する場合は、通知カードに記載された氏名、住所などが住民票に記載されている内容と一致している必要があります。
各種控除証明書
控除を受けるためには証明書が必要です。
- 医療費控除:医療費の領収書やレシート
- 社会保険料控除や生命保険料控除:各種保険の控除証明書
- 寄附金控除:寄附金受領書など
各種控除の内容がわかる書類を準備しましょう。
収入が分かる書類
青色申告をする場合は「青色決算申告書」を、白色申告の場合は「収支報告書」を作成する必要があります。
また、年金を受け取っている人は、「公的年金等の源泉徴収票」、給与所得者の場合は確定申告書に源泉徴収票の内容を転記する必要があるため、準備しておきましょう。
口座番号
還付申告をする場合は、還付される税金の受取口座を確定申告書に記載しなければいけません。
還付金を受け取るための金融機関や支店名、口座番号などがわかる通帳などを準備しておきましょう。
確定申告作成方法
確定申告を行うには以下の方法があります。
- 自分で手書き
- 確定申告書等作成コーナー
- 税理士に依頼する
- 確定申告ソフト
自分で手書きする方法がありますが、全て自分で計算しないといけないため正直大変です。
確定申告ソフトの中には、手間をぐっと抑えながら書類の作成だけでなくe-Taxを使った申告手続きまで行えるものもあります。
なるべく費用を掛けたくない場合は、国税庁が用意している確定申告のためのシステム「確定申告書等作成コーナー」がおすすめ!「作成開始」ボタンを押して指示に従って数字を入力していくと確定申告書を作成でき、e-Taxなら提出までワンストップで行えます。
自宅にパソコンがない場合でも、市役所で利用できる場合もあります。
分からないことがあっても担当の方が手順を教えてくれるので初心者でも安心です。
また、費用はかかりますが、税理士に依頼すれば、確定申告の作成から提出まで行ってくれるので検討してみてください。
確定申告の提出方法
確定申告の提出方法は以下の3つ。
- e-Tax
- 郵送
- 税務署
それぞれ詳しく解説します。
e-Tax
24時間受付。
提出期限は3月15日(土日祝日の場合は翌平日)の23時59分までです。
自宅のパソコンやスマホから提出可能。
最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、e-Taxでの申告か電子帳簿保存が必要です。
郵送
送付先は納税地を管轄する税務署です。
消印の日付が提出日として扱われるため、3月15日の消印が押されていれば受理されます。
郵送時には、提出用の確定申告書と必要書類に加えて、確定申告書の控えと返信用封筒(返送先を記載し切手を貼ったもの)を同封し、郵送提出は、必ず信書便で送ってください。
税務署
税務署に直接持ち込む方法です。
税務署窓口が開いている時間に行き、提出しましょう。
まとめ
確定申告の基本を解説しました。
確定申告について分からない場合は、税務署窓口や税理士などに相談してください。
当記事を通して、少しでも参考にして頂けたら嬉しいです。
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