今回のテーマは「商工会と商工会議所の違いとメリット・デメリットを知ろう」です。
中小企業や個人事業主にとって、経営のサポートや情報提供は非常に重要です。
特に、商工会と商工会議所は、そのような支援を行っている組織として知られています。
しかし、商工会と商工会議所の違いやそれぞれのメリットやデメリットについて、知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで、本記事では商工会と商工会議所の違いについて詳しく説明し、中小企業や個人事業主の皆さんがどちらを選ぶべきかを考える上での参考にしていください。
商工会と商工会議所の違いについて
商工会と商工会議所は、中小企業や個人事業主を支援するための組織ですが、それぞれに異なる役割と特徴があります。
商工会 | 商工会議所 | |
---|---|---|
根拠法 | 商工会法 | 商工会議所法 |
管轄 | 経済産業省【中小企業庁】 | 経済産業省【経済産業政策局】 |
地区 | 主に町村区域 | 市の区域 |
設置数 | 1,643 | 515 |
会員数 | 79万人 | 125万 |
会員の小規模事業者の割合 | 9割 | 8割 |
事業内容 |
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|
商工会とは
商工会は、地域経済の発展を促進するために設立された団体です。
商工会は地域の中小企業や個人事業主の利益を代表し、支援する役割を担っています。
【事業内容】
- 経営相談・支援
- 税務相談・経理指導
- 金融相談・斡旋
- 取引、販路開拓支援
- 労務相談
- 連鎖倒産防止相談
- 分野別専門家派遣(エキスパートバンク事業)
商工会は地域に密着した活動を行い、地域の経済発展に貢献しています。
経営相談・支援
経営指導員が経営全般に関するアドバイス可能です。
その他にも法律や税金の専門家が相談にのってくれますよ。
税務相談・経理指導
帳簿の付け方、決算、申告の仕方を丁寧にアドバイスしてくれる。
決算や申告期には税理士が無料の税務相談可能!
金融相談・斡旋
金融や信用保証に関する相談や斡旋。
日本政策金融公庫のマル経融資の斡旋。
取引、販路開拓支援
ネットを活用した企業情報を発信したり、ビジネスチャンスの拡大や地域の活性化。
労務相談
社会保険、労務保険、退職金などの相談・アドバイス
連鎖倒産防止相談
- 経営的に見込みのある企業は再建の方途を講じる
- 倒産防止が困難な企業は円滑な整理を図る
- 商工調停士、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士など専門スタッフが相談に応じる
分野別専門家派遣(エキスパートバンク事業)
事業者の依頼に応じて弁護士、税理士、公認会計士、弁理士、中小企業診断士、技術士等を無料で派遣してくれる。
※商工会の事業内容は小規模企業者への支援が主なため、商工会議所のような行政への提言活動や検定試験などは行っていません。
商工会議所とは
商工会議所は、商工業界の発展と地域経済の振興を目的として設立されています。
企業や団体の利益を代表する組織であり、商工業界の意見を政府や行政に対して提言する役割を持っています。
【事業内容】
- 行政への要望・意見活動
- 経営相談・事業資金の斡旋
- 講習会・セミナー開催
- 共済・福利厚生
- 検定試験
- 共済・保険制度の取次、加入手続
- 貿易証明書の発給
- 労働保険の事務代行
行政への要望・意見活動
地域や業界の抱えている意見や要望を国・県・市などの行政や関係機関へ提言活動を行っている
経営相談・事業資金の斡旋 講習会
経営指導員による金融相談・税務相談・労務相談等の経営指導。
マル経融資、国や市の融資を紹介・斡旋。
セミナー開催
経営に役立つ講習会や講演会を開催。
新入社員研修、新商品開発、販売促進、創業等のセミナーを開催。
検定試験
- 簿記、珠算、
- 販売士
- 日商PC、日商プログラミング、日商ビジネス英語
- 電子会計実務
- ビジネスキーボード等の検定試験を実施
共済・保険制度の取次、加入手続
企業の福利厚生やリスク管理を共済制度や保険で支援してくれる。
小規模企業共済、倒産防止共済、中小企業退職金共済、業務災害保障、退職金積立制度、休業補償制度、中小企業PL保険等の加入手続
貿易証明書の発給
輸出取引に必要な「原産地証明」など貿易関係証明書を発給してくれる。
労働保険の事務代行
従業員の労災保険・雇用保険の届出事務代行。
商工会や商工会議所は古いのか?
読者の皆さんの中には、商工会や商工会議所と聞くと「昭和」だとか「男性」が入会しているイメージがあるかもしれませんが、実際に設立されたのは昭和で古くからある組織です。
その地域で事業を行っている方が加入可能なので、20代、30代の方もいますし、女性の会員もいます。
商工会や商工会議所は、創業・起業・独立の相談やサポートをしてもらえたり、資金調達で融資や補助金の斡旋もしてもらえます。 また、会員同士の交流会もあるので、地域の事業者と繋がることができます。
商工会と商工会議所のメリット・デメリット
商工会と商工会議所は、中小企業や個人事業主に様々なメリットをもたらしていますが、一方でデメリットも存在します。
以下では、商工会と商工会議所のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
商工会のメリット
商工会のメリットは以下の通りです。
- 地域ネットワークの形成
- 経営相談の受け付け
- セミナーや研修の開催
- マル経融資や県・市の融資等を斡旋
- 地域商品券が使えるお店になれる
地域ネットワークの形成
商工会は地域に密着した活動を行っており、地域の中小企業や個人事業主とのネットワークを形成する機会があります。
地域の経済情報やビジネスチャンスの共有が可能となり、新たなビジネスの機会を見つけることができます。
経営相談の受け付け
商工会では経営に関する相談を受け付けており、専門家や経験豊富なメンバーからアドバイスや支援を受けることができます。
経営課題や売上向上のための戦略について、具体的なアドバイスを受けることができます。
セミナーや研修の開催
商工会では、経営に関するセミナーや研修を定期的に開催しています。
ビジネススキルの向上や最新のトレンドについて学ぶことができ、自己啓発や業績向上に役立ちます。
マル経融資や県・市の融資等を斡旋
商工会に加入すると、日本政策金融公庫のマル経融資の他に、県や市の融資など紹介・斡旋してもらえます。
マル経融資は商工会や商工会議所の推薦がないと申込できない融資です。
- 低金利
- 無担保
- 無保証人
- 融資限度額は2,000万円
地域商品券が使えるお店になれる
住んでいる地域によって、地域商品券(プレミアム付商品券)を発行しているところがあります。
商工会の会員になるとその商品券が使える加盟店になれます。
地域限定で使える商品券は、商工会や商工会議所が中心になり地域活性化のために行っています。
加盟店になるには商工会の会員になる必要があります。
反対に言うと、会員にならなければ地域商品券の加盟店になることはできません。
商工会のデメリット
商工会には以下のようなデメリットがあります。
- 会費の負担
- 活動の主体性が求められる
会費の負担
商工会に参加するためには、一定の会費が必要です。
中小企業や個人事業主にとっては、経済的な負担となる場合もあります。
参加費の割に得られるメリットが少ない場合には、参加する意義を問うこともあります。
会費基準は、商工会によって異なりますので、地元の商工会に確認してみてね。
ただし個人の場合、会費は必要経費に、法人の場合は損金に算入できますので、節税対策になります。
活動の主体性が求められる
商工会は会員自身が積極的に活動に参加することが求められます。
自分で情報収集やネットワーキングを行うなど、自主的な行動が必要です。
参加意欲のない人にとっては、活動に参加しにくい環境となることもあります。
商工会議所のメリット
商工会議所のメリットは以下の通りです。
- 政策提言の機会
- ビジネスチャンスの創出
- 商工会議所推薦のマル経融資が利用できる
- 広報・PR活動を行ってくれる
政策提言の機会
商工会議所は中小企業や個人事業主の代表として政府や行政に対して意見を提言する機会があります。
経済政策や法制度の改善を求めることができ、中小企業や個人事業主の声を届けることができます。
ビジネスチャンスの創出
商工会議所は地域の経済発展を目指して活動するため、ビジネスチャンスの創出が期待できます。
地域間の連携や国際交流の促進など、新たなビジネスの機会を開拓することも可能です。
商工会議所推薦のマル経融資が利用できる
先述で紹介したように、商工会議所も同様にマル経融資が利用できます。
マル経融資は商工会や商工会議所の推薦がないと申込できない融資です。
広報・PR活動を行ってくれる
商工会議所の会員になると、会員広報誌・メディア・WEB等でPR活動を行ってくれます。
PRの種類によって有料、無料のものがあります。有料のものでも、個人でPRするよりお得な金額でできますよ。
商工会議所のデメリット
商工会議所には以下のようなデメリットがあります。
- 役割が抽象的な場合もある
- 参加費の負担
役割が抽象的な場合もある
商工会議所の活動は大きな規模で行われることが多く、個々の中小企業や個人事業主のニーズに直接的に応えるとは限りません。
具体的な支援が得られない場合もあります。
参加費の負担
商工会議所への参加には会費が必要です。
商工会議所の活動に関心があるが、経済的な負担が大きい場合には、参加をためらうこともあります。
入会費用は各地域の商工会議所によって異なります。最寄りの商工会議所にお問い合わせください。
商工会議所検索
商工会議所の年会費や入会金は、全額損金または必要経費に算入できますので節税対策になります。
商工会と商工会議所の加入条件
これから、商工会と商工会議所の加入条件をそれぞれ紹介します。
商工会の加入条件
商工会が設立されている市町村内で、原則その地域内で引き続き6ヶ月以上、事務所・店舗・工場などを有する事業者であれば、規模の大小にかかわらず、誰でも加入することができます。 もちろん、個人事業者でも自宅兼事務所のSOHOの方でもOKですし、農林水産業を営む方でも、収穫物を店舗などで販売している方なら、加入することができます。
※これらの要件を満たさない方でも、特別会員制度(賛助会員制度)、あるいは定款で別段の定めを行う「定款会員」を設け、会員サービスを行っている場合もあります。
引用:全国商工会連合会
商工会議所の加入条件
商工会議所への入会方法は各地域の商工会議所によって異なります。
入会方法は最寄りの商工会議所にお問い合わせください。
例【東京商工会議所の入会資格】の場合
東京23区内で営業されている商工業者であれば、法人(外国法人も含む)、団体(協同組合、経済団体等)、個人事業主を問わずご入会いただけます。(※医師、医療法人、学校法人、外国法人なども入会可能です。)
但し、上記に該当しない方であっても、東京商工会議所の趣旨に賛同いただける方は、特別会員(所属部会、分属支部、議員選挙の選挙権・被選挙権がありません)としてご入会いただけます。
引用:東京商工会議所
まずは、自分の住んでいる地域の商工会議所に問い合わせしてみましょう。
商工会や商工会議所に参加する際に覚えておくべきポイント
商工会や商工会議所に参加する際には、以下の点を覚えておきましょう。
目的やニーズに合った組織を選ぶ
商工会と商工会議所は、それぞれ異なる特徴や活動を持っています。
自身の目的やニーズに合致した組織を選ぶことが重要です。
地域のビジネスネットワークを構築したい場合には、商工会が適しているかもしれません。
一方、全国的なネットワークや政策への関与を希望する場合には、商工会議所が適しているかもしれません。
参加費用や会費について確認する
商工会や商工会議所に参加する際には、参加費用や会費が必要な場合があります。
初めて参加する場合や経費に制約がある場合は、参加費用や会費の金額や支払い方法について事前に確認しておくことが重要です。
また、参加費用や会費に見合ったメリットやサービスが提供されるかどうかも確認しておくと良いでしょう。
積極的に情報交換やネットワーキングを行う
商工会や商工会議所のイベントや活動に参加する際は、他の参加者との情報交換やネットワーキングを積極的に行うことが大切です。
ビジネスの機会や情報を得るためには、他の参加者とのコミュニケーションが欠かせません。
初めて参加する場合や人見知りの方でも、積極的に声をかけたり、質問をしたりすることで関係性を築くことができます。
また、自分のビジネスやサービスについて簡潔に説明することも重要です。
参加するイベントや活動内容を選ぶ
商工会や商工会議所では、様々なイベントや活動が行われています。
ただし、全てのイベントや活動に参加することは難しいかもしれません。
初心者の場合は、自分のビジネスに関連するイベントや活動を選ぶことをおすすめします。
例えば、業界別のセミナーや交流会、地域の経済情報に関する講演会などです。
自分の関心やニーズに合ったイベントや活動に参加することで、より有意義な時間を過ごすことができます。
まとめ
商工会と商工会議所の違いとメリット・デメリットを紹介しました。
まず、商工会と商工会議所の違いは以下の通り。
商工会 | 商工会議所 | |
---|---|---|
根拠法 | 商工会法 | 商工会議所法 |
管轄 | 経済産業省【中小企業庁】 | 経済産業省【経済産業政策局】 |
地区 | 主に町村区域 | 市の区域 |
設置数 | 1,643 | 515 |
会員数 | 79万人 | 125万 |
会員の小規模事業者の割合 | 9割 | 8割 |
事業内容 |
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商工会議所のメリットは以下の通りです。
- 政策提言の機会
- ビジネスチャンスの創出
- 商工会議所推薦のマル経融資が利用できる
- 広報・PR活動を行ってくれる
商工会のデメリットは以下の通りです。
- 会費の負担
- 活動の主体性が求められる
商工会議所のメリットは以下の通りです。
- 政策提言の機会
- ビジネスチャンスの創出
- 商工会議所推薦のマル経融資が利用できる
- 広報・PR活動を行ってくれる
商工会議所のデメリットは以下の通りです。
- 役割が抽象的な場合もある
- 参加費の負担
ぜひ入会したいという方は、住んでいる地域の商工会や商工会議所に問い合わせてみてくださいね。
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