今回のテーマは「社会保険とは?何か」徹底解説します!
社会保険って給料から天引きされるのが当たり前で、何のために支払っているのか考えたことがない。
今更聞けない!というかた向けに分かりやすく解説していきます。
ぜひ、参考にしてください!
社会保険は何のためにある?
社会保険とは、簡単に説明すると、生活上の様々なリスクにそなえるための保険のこと。
すべての人が関わる「日本の保険制度」です。
- 病気・ケガ
- 障害
- 死亡
- 老後
- 介護
- 失業など
これらのリスクは、予測できないですし、全てのリスクを回避するのはとても困難といえるでしょう。
上記のようなリスクに見舞われればたくさんのお金が必要になります。
「いつどこで誰が」遭遇するか分からない万が一のために、お互いに資金を出し合ってともに助け合うために設計された制度です。社会保険は、国民の生活保障が目的で設立された公的保険制度で、保険料だけでなく、国庫負担金などで運営されています。
社会保険の仕組み
社会保険の仕組みは以下の通り。
- リスクにそなえて国民があらかじめ保険料を出し合う。
- リスクに見舞われたひとに必要なお金やサービスが保険から支給される。
社会保険は5つの制度で構成されている
社会保険とは広い意味で「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つの制度で構成されています。
(※広義(こうぎ)の社会保険)
ただし「年金保険・医療保険・介護保険」の3つを指して「社会保険」と呼ぶこともあります。(※狭義の社会保険)
ちなみに「雇用保険と労災保険」は、まとめて「労働保険」と呼びます。
労働者個人を守るために必要最低限の保障なので、社会保険は事業形態や会社の規模によってそれぞれ加入が義務づけられています。
健康保険
健康保険は、業務外で病気やケガをしたときなどに保障される医療保険のことです。
病院の窓口に提示することで、費用の一部を負担してくれます。
病院などで本人が医療費を負担する割合は年齢によって異なりますが、原則は3割です。
残りの7割は、事業所が負担します。
また、自治体によっては医療費の助成制度があり、条件に該当する被保険者の負担を軽減しています。
健康保険の負担は以下の通り
- 小学校入学まで:2割自己負担
- 小学校入学後から69歳まで:3割自己負担
- 70歳から74歳まで:2割自己負担
- 75歳以上:1割自己負担
社会保険は、生計を同一にしている配偶者(内縁関係も含む)と三線等以内の親族が扶養対象です。
そのため健康保険は「被保険者(働いている人)」と「扶養家族」の両方に適用されます。
健康保険は、病気や怪我にかかる医療費の一部を負担してくれるだけではなく、病気や怪我、出産などの休業時にも生活費の補助をしてくれるのです。
【被保険者に対して適用されるケース】
- 病気や怪我をした
- 病気や怪我で会社を休んだことで給料がでない時
- 亡くなった時
- 出産のため会社を休み、給料がでない時
- 出産した時
【扶養家族に対して適用されるケース】
- 病気や怪我をした
- 亡くなった時
- 出産をした時
厚生年金保険
厚生年金保険は、従業員や公務員が年金として受け取れる「公的年金」のひとつです。
【公的年金の種類】
- 国民年金:日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人
- 厚生年金:厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務する全ての人
- 共済年金:公務員・私立学校教職員など
公的年金は、日本国内に住所のあるすべての人が加入を義務づけられており、国民ひとりひとりの働き方によって加入する年金が異なります。
厚生年金は、会社ごとに数多くある基金、団体に収めることで将来的に一定額の年金が支給される形です。
厚生年金保険に加入している人は、国民年金の給付である「基礎年金」に加えて「厚生年金」を受けることができます。
また、厚生年金には以下の種類があります。
【厚生年金の種類】
- 老齢年金:老後の生活を保障するもの(老年基礎年金、老年厚生年金)
- 障害年金:病気や怪我で障害を負った場合に支給される
- 遺族年金:厚生年金を支払っている被保険者が死亡した際に遺族に支給される
他の相続や資産とは違い、税金がかからないのが特徴です。
介護保険
「介護保険」は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みを創るために、2000年4月1日に施行された保険制度です。
40歳以上の人は介護保険への加入と保険料の負担が義務化されます。
介護保険制度の被保険者は、以下の2種類に分けられます。
- 「65歳以上の者(第1号被保険者)」
- 「40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)」
介護が必要になった時には自己負担1割で介護サービスを利用できます。
しかし、65歳以上の人は所得によって介護サービス利用時の自己負担割合が異なります。
【介護サービスがが利用できる条件】
- 65歳以上の人:原因を問わず要支援・要介護状態となった場合
- 40~64歳の人:末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった場合
雇用保険
雇用保険は、失業した労働者の就職支援などを行う制度です。
【雇用保険の目的】
- 失業給付や、育児休暇中の育児休業給付
- 職業訓練や職業教育を実施して再就職の促進をはかるため
- 労働者が失業しないよう予防したり、雇用状態を是正して離職防止と雇用機会の増大をはかるため
また、雇用保険の中には、健康保険と同様に傷病手当金の給付もあります。
健康保険の傷病手当は被保険者がまだ在職中の間に病気やケガをしたとき、雇用保険の傷病手当は退職してからハローワークで求職の申し込みをした後に病気やケガをした際に支給されます。
【雇用保険の適用要件】
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
※「31日以上の雇用見込み」とは…31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、この要件に該当することとなります。
加入手続は事業主が行い、従業員は自ら加入の要否を確認することができます。
また、現在未加入であっても、さかのぼって加入できる場合があるため覚えておきましょう。
社会保険の加入条件
社会保険は、企業と従業員それぞれが加入することで、保険料を財源として運営されている保険制度です。
そのため、加入条件は事業所側と従業員側にそれぞれあります。
【社会保険の加入対象者】
- 法人の代表者
- 役員
- 正社員
- 試用期間中の従業員
- アルバイト・パート(条件あり)
- 外国人従業員(国籍は問わない)
事業所の加入条件は?
法人は基本的に、社会保険に加入しなければなりません。
原則、本社・支店・工場などの「事業所」単位での加入となり、社会保険の適用対象となる事業所のことを「適用事業所」といいます。
会社を設立したときや事業所を新設したときは、適用事業所となった5日以内に、届出書類を管轄する年金事務所または健康保険組合へ提出します。
また、法律で加入が義務付けられている「強制適用事業所」と、加入するか任意で決めることができる「任意適用事業所」の2種類があります。
強制適用事業所とは?
強制適用事業所とは、事業主や従業員が社会保険への加入の意思、従業員数や事業の規模・業種などに関係なく、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が義務付けられている事業所を指します。
- 株式会社
- 合同会社
- 地方公共団体などの法人
※従業員が一人もおらず社長一人のみの企業だったとしても社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する義務が発生します。
【個人事業主の場合でも、次の事業を行い常時5人以上の従業員を使用する事業所】
a製造業/b土木建築業/c鉱業/d電気ガス事業/e運送業/f清掃業/g物品販売業/h金融保険業/i保管賃貸業/j媒介周旋業/k集金案内広告業/l教育研究調査業/m医療保健業/n通信報道業など
任意適用事業所とは?
任意適用事業所とは、事業所主体で申請を行い厚生労働大臣(日本年金機構)の認可を受けることで、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入できる事業所を指します。
- 常時使用する従業員が5人未満の個人事業主
- 従業員の数に関係なく農林水産業や飲食業、理美容業、士業、デザイン業などの個人事業所
また、2022年9月現在は任意適用事業所だったとしても、従業員の半数以上が適用事業所になることに同意すれば、社会保険のうち健康保険と厚生年金保険に事業所単位で加入できます。
従業員の加入条件とは?
社会保険の適用事業所で、常時使用されている人は被保険者になります。
厚生年金保険は70歳未満、健康保険は75歳未満、介護保険は40歳以上65歳未満の人が対象です。
ただし、フルタイムではないアルバイトやパートの人が被保険者になるには、下記の条件のどちらかを満たす必要があります。
【アルバイト・パートの加入条件】
- 1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上の人
- 上記、正社員の4分の3未満であっても、(1)~(5)の条件をすべて満たす人
- (1)週の所定労働時間が20時間以上
- (2)勤務期間が2ヵ月以上見込まれる
- (3)月額賃金8万8,000円以上
- (4)学生以外
- (5)従業員数101人以上の企業に勤務していること
※2024年10月からは「従業員数51人以上の企業」に拡大される予定
社会保険の健康保険と国民健康保険の違いは?
企業などに雇用されて働く従業員が加入するのが社会保険の健康保険。
社会保険に加入していない人が加入する国民健康保険ですが、保険料の計算方法や給付条件などが違います。
社会保険の健康保険 | 国民健康保険 | |
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対象者 |
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保険者 |
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保険料 |
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給付される条件 |
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その他 |
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社会保険の健康保険に加入するか、国民健康保険に加入するかは、基本的に選択することができません。
社会保険の加入対象者に該当する場合は必ず社会保険の健康保険に加入します。
加入条件を満たさない短時間勤務の従業員は、国民健康保険に加入、または配偶者や親の健康保険の被扶養者となります。
退職しても社会保険の任意継続制度が利用できる
通常、企業を退職すると国民健康保険に切り替わりますが、任意継続を選択すると、退職から2年間、社会保険の健康保険に加入し続けることができます。
任意継続制度とは、社会保険の中の「健康保険」と「介護保険」に限り利用できる制度です。
利用できるのは2ヵ月以上健康保険に加入していた人のみですが、国民健康保険よりも手厚い給付を受けられる、被扶養者の健康保険料がかからないなどのメリットがあります。
メリットがあるのは事実ですが、退職後、事業主が負担していた保険料も自己負担しなければいけません。
任意継続と国民健康保険の保険料は、それぞれの人が住んでいる地域や加入していた健康保険等によって異なります。
一概にどちらが安いとはいえませんが、国民健康保険の保険料は自治体窓口にて、前年の所得をもとに健康保険料の試算をしてくれるため、一度、相談してみるのがおすすめです。
まとめ
社会保険は「いつどこで誰が」遭遇するか分からない万が一のリスクのために、お互いに資金を出し合ってともに助け合うために設計された制度です。
社会保険は、国民の生活保障が目的で設立された公的保険制度で、保険料だけでなく、国庫負担金などで運営されています。
社会保険とは広い意味で「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つの制度で構成されています。
(※広義(こうぎ)の社会保険)
ただし「年金保険・医療保険・介護保険」の3つを指して「社会保険」と呼ぶこともあります。(※狭義の社会保険)
ちなみに「雇用保険と労災保険」は、まとめて「労働保険」と呼びます。
【社会保険の加入対象者】
- 法人の代表者
- 役員
- 正社員
- 試用期間中の従業員
- アルバイト・パート(条件あり)
- 外国人従業員(国籍は問わない)
加入所の条件などの詳細は、記事内にて解説しているのでぜひ、参考にしてください。
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